研修レポート/公益財団法人結核予防会(JATA)

山﨑理恵

山崎理恵 看護プログラム研修員の山崎です。これが最後の海外研修レポートになりますが、今回はフィリピンの台風被害と結核について書きたいと思います。
2013年11月8日早朝に東サマー島、レイテ島を襲った台風30号(国際名:Haiyan) は、死者、行方不明者6,000人を超える人的被害、家屋・建物の損壊、生活インフラの破壊、経済活動の停止、農産物被害など、甚大な被害をもたらしました。結核予防会は、12月12日から12月21日まで台風被害に関する現地調査のため、レイテ島派遣を要請されました。残念ながら私は同行できませんでしたが、台風が結核患者にどのような影響を与えたのかについて、スタッフからの報告を紹介したいと思います。
まず、多くの結核治療センターが高潮による浸水被害を受け、建物が使用不能となり別の建物を使用せざるを得なかったり、破壊した屋根をシートで覆った状態で一部診療を再開したりしています。自家発電で一部補っているところもありますが、未だ電力供給も滞っている状態です。
結核治療薬や結核患者の記録台帳、喀痰検査に必要な顕微鏡なども多くが流されてしまいました。結核治療薬は保健省より支給があり最低限のストックは確保できているそうですが、ほとんどの施設で顕微鏡がない、または検査技師がいないなどの理由で喀痰検査が全くできていない状況にあります。つまり本来発見されるべき新規結核患者が発見されず放置されている状況が続いているということです。
また、治療中であった結核患者の約半数が治療に復帰せず行方不明となっています。他の都市へ移転しているために状況が不明のままなのか、交通の便が悪くなったために薬を取りに来られなくなっているのか、理由は様々だと思いますが、恐らくこれらの治療を中断した患者の多くが、再発したり多剤耐性菌となったりすることが予測されます。

山﨑理恵

さらに、各医療機関がどこで結核検査が受けられるのか、どこに紹介したらいいのかなど、お互いの稼働状況を把握しきれておらず、保健システム自体が脆弱になっている状況です。これらの問題点に対して、早急に顕微鏡や検査技師を確保し検査できる体制を整え、どこで検査や治療ができるのか、各医療機関が全体の状況を把握する必要があります。
また、治療を中断してしまった結核患者に対しては、村の保健ボランティアを通じて追跡することも必要です。長期的に見れば、上位の病院と末端の医療施設が連携を強化し、結核治療サービスのみならず保健システムそのものを改善していく必要もあるでしょう。
今回の台風被害を通して、災害が結核患者にもたらす影響について、また災害時に医療者がすべきことについて非常に考えさせられました。
被災前の状態に戻すにはとても長い時間を要すると思いますが、結核患者の発見や治療体制が整うこと、また住民が安心して生活できる日が一日も早く来ることを切に願います。ちなみに、日本では東日本大震災後に「自粛」という言葉が多く聞かれましたが、フィリピンではそれをあまり感じませんでした。台風被害の映像を見て多くのフィリピン人が涙を流しますが、クリスマスはいつもと変わらず賑やかに祝っているようでした。メリハリがあって、フィリピン人らしくていいなと思いました。
フィリピンでの3ヶ月間はあっという間でしたが、たくさんの経験をさせていただき、多くのことを学びました。お世話になった結核予防会のみなさんをはじめ、フィリピンで出会ったすべての人に、また日本で心配してくれた友人や同僚、家族に感謝しています。ありがとうございました。今後は、フィリピンでの3ヶ月の経験を徳之島で生かせるよう頑張りたいと思います。

山崎理恵

横手春子 看護プログラム研修員の山崎理恵です。
結核予防会フィリピン事務所にてインターンを開始して早くも2ヶ月が経過。残り1ヶ月となりました。その間、台風30号によりレイテ島をはじめフィリピン中部が甚大な被害を受け、多くの人の命が奪われました。私の滞在しているマニラでは直接的な被害はなかったものの、東日本大震災を思い起こさせる悲惨な状況にとても胸が痛みます。
マニラでのボランティア活動や寄付ぐらいしかできることはありませんが、亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、これ以上被害が拡大しないことを心から願っています。
フィリピンはWHOが定める22カ国の高結核蔓延国の一つで、2010年の罹患率179(人口10万人対)と高値を示しています。ちなみに日本は18.2で一見低いようですが、アメリカの3.6と比較すると5倍となり、先進国の中では非常に高い中蔓延国となります。結核予防会フィリピン事務所は2008年に設立され、以来特に結核罹患率の高いマニラの貧困地区にて活動を行っていますが、一言に結核対策と言ってもその活動は多岐に渡ります。
地域に潜む結核患者を発見し、結核の診断を行い、結核治療を開始して脱落することなく6ヶ月の内服を継続させ、健康教育によって地域住民の結核に関する知識を普及、医師・看護師や保健ボランティアに対する研修の開催…etcここには書ききれないほど様々な活動を行い、’TB(結核) Free World in the Philippines’の実現を目指しています。
結核患者を発見するためには、症状のある人が病院に受診しに来るのを待っているだけでは不十分で、積極的にコミュニティに出て行って結核患者を探し出すということが非常に重要になりますが、その役割を担うのがコミュニティで活動する保健ボランティアです。
保健ボランティアは地域で結核の症状を有する住民を見つけたら、検査を受けるため医療機関を受診するよう説明しますが、説明を受けた人の50%ほどしか受診をしないというデータがあり、課題となっています。理由は様々で、仕事があって受診する時間がないとか、もし結核だったら恥ずかしいという気持ち、医療機関に行くまでの交通費がない、結核に関する知識がない…などです。少しでも受診率をあげるために何ができるか…ということを考える研修を、保健ボランティア対象に今行っている最中で、私も少し時間をもらって、結核疑いの人を見つけたときの対応について話をさせてもらっています。
私の拙い英語でどこまで伝わっているかは謎ですが…。

山崎理恵

この受診率を改善するには、そもそも貧困という根本的な問題を同時に解決していくという国家レベルでの対策が必要であり、またこういった研修を通して保健ボランティアを育成するというコミュニティレベル、あるいは個人レベルでの努力が必要です。成果が数字に現れるには時間がかかりますが、自分たちにできることに真摯に取り組むということが大事なことではないかと感じています。
残り1ヶ月となりましたが、自分の学んだことを少しでも還元できるよう頑張りたいと思います。

山﨑理恵

看護プログラム研修員の山崎理恵です。
現在、結核予防会フィリピン事務所にてインターン期間中です。フィリピンに来て早くも1ヶ月が経ちました。初めてフィリピンで食べたバナナの甘さと濃厚さに衝撃を受けながら元気にやっています。回はフィリピンという国の現状について書きたいと思います。
首都マニラ着いてまず目に飛び込んできたのは、大きなスーパーやセブンイレブン、ミニストップといった日本でも見慣れたコンビニでした。ほとんどのカフェでwifiは使えますし、日本料理レストランも多く、ラーメンやとんかつなどが気軽に食べられます。非常に生活しやすいですし、以前滞在したことのあるブルキナファソ(西アフリカ)とは比べ物にならないほど恵まれているな、というのが第一印象です。
しかしその恵まれた環境の片隅で、時々ドキっとすることがあります。朝の通勤ラッシュ時、行き交う人に紛れて、泥だらけの子供が道ばたで当たり前のように寝ている場面に多く出会うのです。このギャップ、この違和感を目の当たりにし、いつも何とも言えない気持ちになりながら、通り過ぎるしかできないでいます。

山崎理恵

フィリピンは7000以上(ちなみに日本は6852)の島々からなる島国で、面積は日本の8割ほど、人口は9400万人でそのうち80%以上がカトリック教徒であり、12月に控えたクリスマスが最大のお祭りでもあります。そんなフィリピンの2010年の経済成長率は7.3%(ちなみに中国の2013年7〜9月期は7.8%)であり、近年目覚ましい発展を遂げているといえますが、その一方で所得格差を示すジニ係数は0.46(1に近づくほど格差が大きい)で、これは所得格差による不満から社会騒乱多発の警戒ラインである0.4を超えています。
また1日2ドル以下で生活する人の割合は40%にものぼります。つまり、国全体としては経済成長しているものの個人レベルの所得格差が大きい状態です。そしてこの所得格差によって生じるのが‘健康格差’です。

山崎理恵

現在インターンをしている結核予防会は、マニラ首都圏の貧困居住区をターゲット地区にして活動を行っていますが、実際その貧困居住区の方が結核が蔓延しているというデータがあります。貧困地区の人々は、換気の悪い密集した中で生活し(人口密度は東京23区の約5倍)、経済的困窮から栄養不良に陥り、症状が出ても病院へ行くための交通費がなく、教育を受けていないために結核に対する理解も乏しい、または健康問題に無関心、、etc
様々な要因により結核が蔓延しやすい状況にあります。結核予防会は2008年からこの貧困地区での活動を開始し成果をあげていますが、私はこの1ヶ月間、予防会が行う研修やミーティングに参加させてもらったり、Community Health Volunteerを対象にアクティビティをさせてもらったりしながら、フィリピンという国の現状や統計データの理解に努めました。一言に‘結核’と言っても、様々なことを理解する必要があること、つまり結核罹患率や死亡率ばかり見ていても解決には至らないということが非常によく分かりました。
なぜなら先に述べたような、所得格差をはじめとした社会経済的要因さらには、教育の指標や貧困層のための医療保険制度があるか、コミュニティの団結力は強いかetc、、といった様々な要因が結核という疾患に大きな影響を及ぼしているからです。残り2ヶ月弱という短い期間ですが、マニラでの‘格差’‘不平等’を日々肌で感じながら、自分に何ができるか考え、充実した時間になるよう頑張ります。

西山由香里

西山由香里 GLOW看護短期研修プログラム研修員の西山由佳里です。カンボジアでのインターン生活も3ヶ月が経過しました。9月はカンボジアのお盆の時期で、新月~満月に至るまでの約2週間、家族でパゴダにお参りへ行く風習があります。仕事のためにプノンペンで生活している人たちも地方へ帰省するため、いつも賑やかな町が静かに感じました。
活動先ではPCと向き合う日々を送っていますが、フィールドでは暑さと格闘しながらプロジェクトのお手伝いをしています。
今月は16HC中の4HCが管轄している村での、コミュニティボランティア研修へ参加して、研修前後に実施するテストの配布、採点と入力、使用している教材の準備、休憩時間のお茶菓子準備を担当しました。研修内容だけでなく、スタッフがどのような役割を担い勤めているのか、一緒に活動に参加して分かることがたくさんあります。数日をゲストハウスの同室で過ごすため、活動だけでなくプライベートに関する話もでき、地方の名物“うなぎ”料理を食すなど楽しみがあります。スタッフとは休日に隣町のキーンスバイへ出かけたり、ランチを一緒したりして公私ともに仲良くしています。

西山由香里

この他にもローカルNGOの活動視察、州保健局での会議に同行し、先日はCENAT、fhi360(NGO)で7年間勤務されたインド医師の送別会に招待いただきました。JATA事務所があるCENATは、結核対策・治療の中枢機関であるため海外からのエキスパートが来ることも多いです。様々な活動に参加することで多くの人に出会い、カンボジアでの結核対策を知ることもでき大変勉強になります。
現在はJATACambodia officeの公式Facebookを開設し、英語・クメール語・日本語で広報活動しています。少しでも多くの人にJATAの活動を知ってもらえるよう、ナショナルスタッフと共に作成しています。
残り3ヶ月も充実した日々を送れるよう頑張ります。

西山由香里

GLOW研修員の西山由佳里です。広島県庄原市での地域研修を終え、7月より結核予防会研究所(JATA)のカンボジア事務所でインターンをしています。カンボジアでは1975年からの4年間、ポルポト政権による知識人の大量虐殺が行われました。この時代、結核の治療を受けることができず、集団生活を強いられ、その後に続く長い内戦のために結核が蔓延したと言われています。
1994年の内戦後、国際的な介入があり国家レベルでの結核対策が開始されました。JATAも1999年よりJICAプロジェクトでカンボジアでの活動を開始しています。
カンボジアでの結核はピークの頃より半減していると言われていますが、2012年のWHOの推計によればカンボジアは22の高蔓延国に指定されており、人口764 (対10万)と世界でも第2位の結核高蔓延国です。現在も欧米各国、日本から結核対策のエキスパートがナショナルチームとともに活動を共にしています。
カンボジアにおいてNTP(National Tuberculosis Control Program)が設立されており、WHOのガイドラインを元に国内版を作成しています。
結核対策はアルゴリズムに沿って実施しており、患者の早期発見・治療を目指しています。

西山由香里

JATAはより多くの結核患者の早期発見・治療に繋がるよう、コミュニテイヘルスワーカー(VHSG)に協力を仰ぎ、ヘルスセンター(HC)、リファラル病院(RH)でのワークショップ(WS) を開催して結核対策の強化に努めています。現在のプロジェクトは2つあり、私は主に日本NGO連携無償資金協力プロジェクトに関わっています。
①日本NGO連携無償資金協力のもと、・プレイヴェン州ピアレン医療圏の結核対策強化・デジタルX線装置の贈与(撮影・読影のトレーニング)・ワークショップ(WS)の開催・VHSG→HC→RHのスクリーニング強化など
②USAID資金では、・小児結核への対策強化・小児結核にフォーカスしている・ワークショップの開催・VHSG→HC→RHスクリーニング強化など
基本的には事務所での活動になりますが、プロジェクト概要ほか、資金運用やマネージメントを学ぶことができ、プロジェクトの全体像がみえてきます。
さらに、定期的に開催しているミーティングで、其々の視点から報告、ディスカッションをすることで、進捗状況が明らかになります。これらの要素をもってフィールドに向かうと、頭の中で少し複雑化していた物が少しずつ繋がり鮮明になります。またワークショップへ参加したことで、自分のリサーチ課題が見つかり、ナショナルスタッフにも共感してもらえたため、現在取り組んでいるところです。加えて、広報活動としてFacebook活用をする予定で現在準備中です。

西山由香里

カンボジアに来てはや2ヶ月が過ぎようとしています。活動は大変なこともありますが、充実しています。季節は雨季で、来る前は少し残念に思えたけれど、今では良かったと思えています。水田や道路だったはずの場所が、全て水で見えなくなり、高床式住宅に暮らす住民がバイクや車から、船に移動手段を変えていく情景をこの目で見ることができたからです。日本にいると分からない事情を発見することで、次のステップに繋がる気がします。
プライベートでも、プノンペン市内の観光に出かけたり、今カンボジア人に話題の“イオン”に行ったりしています。食べ物も美味しく、特に甘い香りするクメールコーヒーは毎日飲んでいます。レストランや、市場、大家さんとの会話は指差し会話帳が必須ですが、笑顔で乗り切っています。
残りの4ヶ月も充実した日々を過ごせるように頑張ります。