公益財団法人結核予防会

歌田ちひろ

看護短期研修プログラム研修員の歌田です。
海外研修も残すところあと1ヶ月になりました!残りもわずかと思うと悲しいですが、もうすぐカンボジアはプチュンバンという連休に入るので、ワクワクしています。
今回は、インターン中に取り組んでいる活動の1つである、「患者と患者家族の入院中の体験に基づくケアニーズ調査」について書きたいと思います。カンボジアの病棟に入って、日本の看護師との役割の違いや、言語の壁もあり、始めは「自分にできることは何もないのでは・・・」と戸惑いましたが、現場で働く看護師さんや学生さんと関わる中で、少しずつ情報を集めていき、自分がここで貢献できることを探していきました。
カンボジアでは、看護師は医師の治療補助が主な役割で、患者の身の回りの世話やADL介助は主に家族が担っています。私がいる病院では、現在「看護過程」の導入を行っているのですが、研修を受けたプリセプターの話を聞くと、医師の治療補助としての看護介入が主なカンボジアでは、看護診断(患者の社会生活・日常動作を含め、在存する健康問題や潜在するリスクに対し、看護介入を行うための診断)と、医師が行う病気の原因治療のための医療診断とが混同し、「看護過程」を実際に臨床で活用することが難しいという現状があることがわかりました。

歌田ちひろ

家族が患者のケアを担う分、見えにくい看護ケアのニーズを拾い、必要な看護介入を考えることで、「看護過程」の思考を助けることができるのでは?と考え、上記のテーマを設定して活動を開始しました。
プロジェクトの専門家の先生にアドバイスをいただきながら、まず、病院長と看護部長さん、保健局長に活動の計画を相談し、病棟の師長さんやスタッフの協力を得て、患者さんや患者さん家族へのインタビューを行いました。その後、結果を基にケアニーズをピックアップし、考えられる看護介入や、それに必要な看護技術、またインタビューで分かった病院スタッフの強みなどをまとめ、発表の場を設けて院内の教育に携わるプリセプターと各病棟の師長さん、副師長さんに共有しました。

活動を通して、患者さんの入院中の思いや抱えている困難などが、自分が表面で感じた印象よりも多くあること、また同時に、病棟に通ったり、共有の場を通してカンボジアで働く看護師の困難も目の当たりにしました。患者さんのニーズをどう埋めることができるのか、低いインセンティブでどうスタッフのモチベーションを上げることができるのか、実際にカンボジアの医療現場を見て、考えさせられました。
時間は掛かりますが、それでもカンボジアの看護の現場は少しずつ変わってきています。様々な支援団体によって変わったり、教育が整ってきたり。社会や環境が変わったり。JICAのプロジェクトからは、助産師自身の能力が向上することで、患者さんから感謝されたり、喜ぶ顔や良い評判を得ることで、プロフェッショナルである誇りを感じたり、モチベーションが上がったりする場面も見る事ができました。

歌田ちひろ

若手の看護師や看護学生さんと話すと、力強く、可能性に満ちているように思え、改めて現場で働くスタッフの方々の逞しさに感嘆し、自分ももっと頑張らなくてはとパワーを貰いました。お互いの国や地域が抱える課題は違いますが、良いところや強みもある。お互いに学ぶところがたくさんある、と感じます。現在病院では、研修部が立ち上がり、院内の研修を計画し運営して行きます。今回の調査で得られた結果も研修部の方に共有できたので、今後、研修のニーズアセスメントをする上で少しでも役立てて頂ければと思います。研修期間も残りわずかですが、ここで学んだことを次に活かすことができるよう、残りの研修期間も大事にしていきます!

歌田ちひろ

こんにちは、GLOW研修員の歌田です。4月後半から、待ちに待った海外研修が始まっています!
私のインターン先は、カンボジアのJICA母子保健プロジェクトです。カンボジアには大学生の頃、サークル活動を通して何度か訪問したことがありました。その頃は、田舎の孤児院に週単位で訪問する形だったのですが、今回は半年間という少し長い期間で、そしてJICAという大きな組織に携わることで今まで知らなかった新しいカンボジアと国際保健の現場を体感しています。今回は少しカンボジアの母子保健と、インターン先のJICA「助産能力強化を通じた母子保健改善プロジェクト」について書きたいと思います。
2010年の統計では、カンボジアの乳児死亡率(出生1千対)は45、5歳未満死亡率(出生1千対)は54、妊産婦死亡率(出生10万対)は206でした。2000年時点での統計の値と比べ、この10数年でこれらの死亡率は半数以上減りました。

歌田ちひろ

半数も減ったのかぁ、と思いますが、これらの値は周辺国とくらべても未だに高く、本来なら喜ばしい新しい命の誕生が、女性の生命の危機でもあるのが現状です。
(日本では、乳児死亡率2、妊産婦死亡率3くらいです。)こうした命は周産期医療を担う医療者の能力によっても左右されます。
カンボジアは1970年以降内戦が続き、その間のポル・ポト政権により国民の大量虐殺が行なわれました。
抹殺の対象となったのは特に知識人で1979年までの内戦後に残った医療従業者はほんの数名だったと言われています。その後、医療者の養成が急務に行なわれた背景があり、様々な教育レベルの医療者がいます。JICAは1992年からカンボジアの母子保健分野のサポートを開始し、現状を調べることから始め、主都プノンペンでカンボジアのトップリファラル病院である国立母子保健センターを設立し、機能させ、人材を育て、2007年からは、特に助産師の数が慢性的に不足している地方の助産師を支援してきました。
そして、2010年から始まった現在のプロジェクトでは、カンボジア全土で質の高い助産ケアが行なわれるよう、中央で行なわれてきた研修システムを地方へ広げる取り組みを行なっています。

地方展開のモデルとしてプロジェクトが介入しているコンポンチャム州立病院は、主都プノンペンから車で2〜3時間程離れた場所にあり、州で唯一の総合病院です。道路が整備され、商業ビルやお洒落なレストランなどがある主都プノンペンとは違い、少し街の中心部を離れるとカンボジアの昔ながらの田園風景が広がっています。現在私も、主にこちらで専門家の先生方の活動に同行させていただき、自分の活動のアドバイスを頂きながらインターン生活を送っています。
プロジェクトや専門家の先生方から学ぶことはたくさんあり、また、カンボジアでいろいろな形で国際保健に携わる人に出会い、毎日刺激的です。長いようであっと言う間の半年間を、実り多きものにしていけるよう残りの研修期間を大事にしていきたいと思います!