アドバイザー紹介

國井修先生 私は現在、ジュネーブで働いていますが、以前、栃木県の山間僻地である栗山村(日光市に吸収合併)の診療所に勤務していました。私の実家から車で3時間程の場所ですが、実際に住んでみて、また働いてみて、多くのカルチャーショックを受け、豊かな経験と学びを得ました。「診療所で待つ医療」ではなく、「診療所を出て村人から学ぶ」ことの重要さ。村にどのような健康問題があり、その背景としてどのような関連要因があり、それを解決するにはどのような方法があるのか。村人を患者として診療所で診るだけでは見えなかったことが、診療所を飛び出して、人間として村人と付き合う中で見えてきました。自分がそれらの健康問題とどのように関われるのか。これは医師として病気と向き合うだけでは解決困難で、村の人々の食文化を含む生活習慣、高齢者のケアに対する考え方、病気や死の捉え方など、医療以外の様々なことを知り、地域全体を把握した上で、その解決の糸口を探す必要がありました。
国際保健も同じです。国が変わっても、文化や言葉が違っても、人は「地域」で生まれ「地域」で生活し、「地域」で天寿を全うします。健康問題が異なっても、「地域」にその要因・誘因があることが多く、「地域」でいかなる予防・治療・ケアを行っていくか、「地域」でそのリソースをいかに確保していくか、「地域」の制度やシステムとしていかに組み込んでいくか、などは世界共通の問題です。「地域医療」と「国際保健」には共通の醍醐味もあります。そこには好奇心をそそる異文化があり、人々の温かい心やもてなしがあり、人々が助け合い、寄り添いあう地域の絆があります。それらに触れ、また自分もその「輪」の中に入れてもらうことで、自分の生活、人生も豊かになっていきます。「地域医療」と「国際保健」には必要な知識や技術はありますが、それ以上に、その「地域」や「国際」、LocalとGlobalに自らを置いて、自ら考え、悩み、行動しなければならないことが多くあります。だからこそ、面白い。先達ではなく、「あなた」だけに与えられた使命、「あなた」だけが解決できることも、その地域、世界に待っているかもしれません。
さあ、あなたも、「病院」「医学の砦」から「地域」そして「世界」に飛び立ってみてください。Global に考えながらLocal に行動する、またLocal に考えながらGlobal に行動する、そんなGlocalな人財が育ち、日本全体がもっと元気に、活性化しますように・・・。若手が自ら創設したGLOWを私も海外から応援しています。

佐藤元美先生

佐藤元美先生 20年間医療過疎地で保健医療福祉の一体的運営を地域包括ケアとして運営してきました。その間、国際保健とへき地医療をともに実践している医師と出会い、その共通点を考えるようになりました。過酷な環境で暮らす人々の生活を,健康を通して支えたいという切実な願いは同じだと思います。藤沢では医療や介護のありかたを住民とともに議論するナイトスクールを20年間継続しています。誰かの役に立つ医療は、やりがいに満ちた医療です。GLOWの試みは始まったばかりですが、その中に教育の仕組みがあり、継続できる経済的な裏付けがあります。これから大きく育ってほしいと願っています。

孫大輔先生

孫大輔先生 2000年卒の医師で、元腎臓内科医でしたが、今は家庭医(総合診療医)がバックグラウンドで、医学教育部門の大学教員をやっています。研究の専門はヘルスコミュニケーションと医学教育です。市民・患者と医療多職種が地域でともに学び対話を行うことで相互理解を深める「みんくるカフェ」という活動を2010年から続けています。また、全国の地域コミュニティの健康をささえるジェネラリストを支援育成する「一般社団法人Medical Studio」の副代表理事でもあります。自分の夢は、日本の地域医療・プライマリケアを元気にする人々を支援することであり、地域・コミュニティを中心として人々がより健康に幸せに生きられるような社会を実現することです。そのためには医療専門職の意識転換が必要であり、医療専門職がもっと地域に出て行き、地域の様々な人々と有機的に連携していく社会が理想だと考えています。GLOWの活動も同じ志を共有しており、心よりサポートさせて頂きたいと思っています。

長純一先生
長純一先生 石巻で被災地支援をしています。佐久にいたときからずっと農村・へき地の医療と国際保健、健康格差に関わってきました。目を背けたくなるような現状はたくさんありますが、被災地の現状を知り、被災地の地域医療から学ぶことがたくさんあります。GLOWとは志を同じくしており、私の診療所でもGLOWからの研修生を受け入れています。今後も皆さんの将来に役立つような支援を続けて行きたいと思っています。頑張ってください。いつでもお待ちしています。

中村安秀先生

中村安秀先生 いまから四半世紀前、都立病院小児科と東京都保健所での勤務から、インドネシアのスマトラ島の電気もない村に飛び込み、ヘルス・ボランティアの人たちと小児保健の改善に取り組んだ経験は鮮烈でした。徒手空拳で挑んだ個人的なチャレンジのなかで、私自身はプライマリ・ヘルス・ケアの真髄をインドネシアの村の人々から教えられました。いま、東日本大震災において海外から過去最大規模の支援が寄せられ、グローバル世界のなかで、人と人がつながり、国と国がつながっていることに改めて気づかされました。地域保健医療の課題は、社会経済的な背景や医療システムが異なるために表面的な違いが目立ちますが、世界各国でその重要性と緊急性という本質は驚くほど似ています。国境を越えて、人が移動し、病原体も移動し、医療者や医療ケアが交錯する時代において、日本の地域保健医療の経験を国際協力の現場に活かし、途上国での貴重な国際体験を日本の医療現場に還元できるシステムが必要です。国際保健医療協力と国内の地域保健医療との連携という、重要な一石を投じたGLOWの若さあふれる今後の発展とチャレンジに大いに期待しています。

藤沼康樹先生

藤沼康樹先生 僻地医療と国際貢献を同時並行的に進めるというコンセプトは、これまでありそうでなかったプロジェクトだと思います。本来地域医療と国際保健領域は、住民の健康状態のボトムアップをめざし、地域のプライオリティの高い健康問題にチームで取り組むという共通要素があり、言い換えればプライマリ・ヘルスケアの理念と実践が求められる現場であるとも言えます。また、そうした現場での医療者教育が今もとめられていますが、それは現代の医学医療にプライマリ・ヘルスケアの視点が失われがちになっているからでもあります。したがって、わたくしは、GLOWの事業は医療者教育の視点からも大変重要な内容を包含していると思います。今後の発展に期待しています。