第5回GLOWキャリアアップセミナー

去る7月12日に、第5回GLOWキャリアアップセミナー+GLOW研修プログラム説明会を開催いたしました。台風一過の蒸し暑い土曜日でしたが、合計29名の方々にご来場いただきました。キャリアアップセミナーの第1部では『「対話」が生み出す力~カフェ型ヘルスコミュニケーションとファシリテーション~』と題し、東京大学医学教育国際研究センター講師の孫大輔先生よりご講演を賜りました。
孫先生は、医療者と患者との間における、情報の非対称性やコミュニケーション機会の制限や不足を見て「従来の医学教育は共感力を妨げているのではないか」という問題意識を抱き、患者と医療者の相互理解の場となる「カフェ型ヘルスコミュニケーション」を行ってこられました。このカフェ型ヘルスコミュニケーションとは、医療者と非医療者が、グリーフケア、死生学、在宅医療などをテーマに「対話(雑談と議論の中間)」をする場です。今では全国各地で展開されるカフェや地域のプロジェクトがあり、各地域では孫先生が輩出した対話ファシリテーターが活躍しておられるそうです。
私たちは、「情報量も立場も異なる非専門家と専門家の間でこそ、ファシリテーションと対話の場づくりを行う『守り立て役』としてのファシリテーターが重要」だということを学びました。また、具体的なファシリテーションの技法として「7つの技術」をご教示いただきました。

第5回GLOWキャリアップセミナー

講義のあとはグループに分かれて、ワールドカフェを実践しました。6グループで、「なぜ今、様々な現場で対話が必要なのか」をテーマに各人が3回テーブルを回り、ほとんどの参加者がファシリテーターを体験しました。最後に、元のグループに戻り「どんな話が発展したか」を共有し、実際のファシリテーター体験を「7つの技術」に沿って振り返りました。参加者からは、「テーマが重く、初対面で話しにくいことである場合は、どのように引き出していくのか」や「行き詰まった場合の対応はどうしたらいいか」といった技術的な質問や、「カフェで行うのは資金的に困難なのでは」や「一般の人が行うカフェではどういった工夫をするのか」といった運営面に関する質問もありました。
キャリアアップセミナーの第2部では、GLOW理事 仲佐保によるスキルアップワークショップ「Meeting Management」を行いました。今回のワークショップでは第1部の「対話」というテーマから「議論」へテーマを移し、シンポジウムなどの大きな国際会議のみならず、国際保健現場で参加する会議で、一人一人に求められるファシリテーション技術をテーマとしました。
まず、最初のセッションでは、途上国でのある会議の様子のシナリオを読んで、会議の現場でどんな問題が起きているのか、なぜ起きたのか、そしてその解決策は何かをグループで分析し発表しました。その中で、会議の場を効果・効率をあげるためのチェックリストを確認しました。特に、「何が決まったのか」を記載しておくことが重要であると学びました。

第5回GLOWキャリアップセミナー

後半のセッションでは、多くの方が経験をお持ちであろう「会議での困った状況(difficult situation)」「会議での困ったさん(difficult individuals)」をテーマに、それぞれの特徴に対する解決策を話し合いました。「途上国ではワークショップ一般住民(スラムの人とか)が対象になると思うが、どうしたらいいか?」といった国際保健現場ならではの質問もあり、事前に周知をしておくことはもちろん、ワークショップの意義をしっかり伝えておくこと、そして実践段階では「時間を割いても良い」と思わせるワークショップとすること、などプラクティカルに学べる機会となったのではないでしょうか。
多くの参加者の方から、「現場では困った局面になることも多く、対応をがその都度大変なので、とても役に立ちそうだ」といった声を聞かせていただきました。第1部と第2部で学んだ、対話と議論の技術を、まずは日々の職場で、そして地域保健あるいは国際保健現場で実践して頂ければと思います。
GLOW研修プログラム説明会では、団体概要や医師プログラム、看護師プログラムのご紹介をさせて頂きました。その後に、看護プログラムの研修員である山崎理恵さん、横手春子さんからの報告会を行いました。

第5回GLOWキャリアップセミナー

山崎さんからは結核予防会 JATA(フィリピン)での、横手さんはチャイルドドクタージャパン(ケニア)での海外研修を終え、今年から徳之島で訪問看護の研修を行っています。山崎さんはフィリピンを襲った台風30号が結核患者にどのような影響を与えたか、たくさんの写真を用いて紹介してくださいました。横手さんは、地域住民への啓発イベントでの楽しい演劇の様子を映像を用いて紹介してくださり、またチャイルドドクターのローカルスタッフへの活動発表の報告をしてくださいました。
医療人材もインフラも限りのある途上国での日々の奮闘と、充実したオフの様子が伝わってきました。「国際保健と地域医療の両現場での共通点を感じた」「地域の特性を理解する、文化に敬意を払うことが大事だ」と仰っていたのが非常に印象的でした。
今後もGLOWキャリアアップセミナーでは、国際保健や地域医療に関心を持つ方々に向け、講義やスキルアップワークショップを提供して参ります。
次回のGLOWキャリアアップセミナーは来年3月に開催予定です。最新情報はHPに随時更新して参ります。次回以降も是非ご参加ください。ご参加くださいまして誠にありがとうございました!